高校の時、大学から教育実習生が来た。 
笑顔が可愛らしいく、黒髪のセミロングが良く似合っている人だった。 
個人的にど真ん中ストライクだったので初めて見た時ドキドキしたのを覚えている。 
彼女は私が好きだった世界史の担当だったので、授業が嬉しくてたまらなかった。 
とりあえずきっかけを作るために積極的に質問しにいったりしていると 
廊下で出会ったら相手から喋りかけてもらえるぐらいに仲良くなった。

私は遅刻癖があり、嫌いな教科がある日は昼からなんてことはしょっちゅう。 
その日も1・2時間目にかったるい授業があり、3時間目の休み時間から登校した。 
いつも通り教務課の先生のお小言を聞き流し教室に向かう。 
ドアを開けるとクラスメイトは誰もいなくて、先生がぽつんと座っている。 
突然の展開に驚いたのは言うまでも無い。 
「せんせぇ〜おはようございます〜」 
「あら、社長出勤とはいい御身分ですこと」 
「そんなん言わんとってよ〜せんせぇはなんでここにいるん?」 
「二時間目は授業やったんよ。それで終わったから報告書みたいなものを書いてるの」 
どうやら時間割変更があったらしく2時間目に世界史が、3時間目に体育が入ったとのこと。 
それでクラスメイトは誰もいなくて教室には先生だけが残ったらしい。

先生と向かい合うように座り、なぜ職員室で書かないのかと問うと 
「こんな事言ったらあかんと思うんやけど、ちょっと嫌いな先生が…ね。」 
「あ、もしかして○○先生ちゃう?」 
「名前は内緒やけどね〜」 
と、笑顔で人差し指を口元に当てる仕草が可愛らしい。 
そうこうしているうちに休み時間は終わってしまい三時間目が始まった。 
「ほら、早く次の授業行かんとあかんよ」 
「だって体育とかだるいやん。せんせぇと話しているほうが楽しいし〜」 
「またそんなこと言って…仮にも教師なんだからサボリは見逃さへんよ」 
今から考えるとよくこんな台詞が出てきたもんだと思う。 
「それじゃぁ…せんせぇがキスしてくれたら行くわ」